人の意識はどうしても、撮りたいものに集中しがちです。特に人物撮影の時は、「はい、笑って~」と声を掛けたりすることもあって、周囲にまで意識が行き届かないことがあります。
しかし、そこは一回冷静になって背景に目を配り、ゴチャゴチャしたものはないか、人物を圧迫するような物はないか意識して確認しましょう。ファインダーや液晶モニターを見ていると、どうしても主観的になりがちなので、客観的に見られるよう努力が必要です。
パソコンに取り込んで画像編集ソフトを利用すれば、不要物を消去することも可能です。
しかし、看板やゴミを消去して違和感なく仕上げるには、プロでもかなりの技術が必要です。
カメラの角度を変えたり、ゴミを拾うことで解決するなら、撮影の時にその場で解決しておきましょう。
人物を撮影する 2
人物を左右に寄せて、構図に変化をもたせる
写真の世界では、人物を真ん中に持ってくるのはあまり良くないと言われています。
それが絶対的に悪いわけではないのですが、人物を真ん中に持ってくると背景が左右ほぼ同じくらいに分かれてしまって、奥行きのない画面になりがちです。このような構図は白地の真ん中に赤丸がある日の丸に似ているので、「日の丸写真」と呼ぶこともあります。
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そこで、人物を画面の左右に寄せてみましょう。すると空間にゆとりと奥行きが生まれることで、結果的に人物を浮かび上がらせることができるのです。 後々、画像編集ソフトを使って加工する場合にも、左右に寄っていれば文字やメッセージを入れるスペースとして利用することもできます。 |
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カメラに目線を向けてもらう
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人物撮影の基本は、目線がカメラに向いていることです。 今さらのように感じますが、実際には目をつぶってしまうなど、よい表情を絶妙のタイミングで撮影するのは意外と難しいものです。また、「レンズの方を見てね」と声を掛けるだけなく、会話などのコミュニケーションで気持ちをリラックスさせることで、自然な目線を向けて貰えるようになります。そして、できるだけ沢山の枚数を撮影しましょう。 |
撮影される側が慣れていないと、ずっとレンズを見続けることに違和感を感じてしまうこともあります。そんな時はカメラの近くに手や小物を掲げて「この手を見てね」というように、注目する対象に変化を付けてみましょう。
ストロボで目をキラキラさせる「日中シンクロ」
プロが撮影した女優やモデルの写真では、目がキラキラ輝いていることがありますよね?
あれは照明やレフ板と呼ばれる光を反射させる板を使用して、瞳に光を反射させているのです。
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瞳が輝くと、とても生き生きとした表情になります。この輝きのことを「キャッチライト」といって、主にアップショットで利用されます。プロでない限り大きなレフ板を持参するのは大変ですが、デジタルカメラのストロボを強制発光することでも、瞳に輝きを与えることができます。このような使い方を「日中シンクロ」といいます。 A4サイズ程度の発布スチロールボードでも充分ですし、晴れた日なら白いノートでも代用することができます。
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レフ板には小さく折りたたむことのできるコンパクトタイプもあり、1,500円程度で売られています。太陽光を反射させれば、柔らかい光を当てることもできます。 |
カメラから目線を外す
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上の「カメラに目線を向けてもらう」と矛盾するようですが、カメラから敢えて目線を外すことで、物思いにふけっているような心情的な写真を撮ることができます。この場合「あの遠くのビルを見て」というように、目線の先を具体的に指示してあげましょう。
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人物撮影の第一歩は、会話によるコミュニケーション
構図や目線も大切ですが、人物撮影で最も重要なのは表情です。いくら構図に凝っていても人物の表情が硬いと、緊張感がそのまま写真に残ってしまいます。
実は撮る側もリラックスしていないと、撮られる側もリラックスできずに、いい表情を得ることはできません。お互いにうち解けてリラックスするためには、会話を交わすのが一番です。
会話の内容は家族や友達、学校、仕事、趣味など身近な話題で、特に笑わせようと思う必要はありません。「あ、それ知ってる」と共通の話題が見つかればよいですし、共通の話題が無くても「それは知らなかった、もっと聞かせて」と知らないことでも訪ねることで、話は深くなりうち解け合うことができます。
撮影中はもちろんのこと、撮影前にも時間をかけてあれやこれやとコミュニケーションを取ることが重要です。